夕日と猫とおじさん

数日前から、ずっと気になっていた某公園に行ってみたいと思っていました。

そこは車を40分ほど走らせた「さらに郊外」にあり、水鳥の観察ができるかなり大きな公園です。

でも昨日、やっと大掃除を終えたのが15時。宅配便を受け取って、家を出たのは15時30分過ぎ。

今から行ったら到着は日没頃かぁ。ちょっと今日は無理だな。

でも、どこか清々するところを散歩したい!どこがいい?……と、我がハイヤーセルフに尋ねたところ、「〇〇〇」と心の中から地名が聞こえてきました。

そこは私が初夏にネットで情報を見て、行きたいと思いながらも、忙しくて忘れてしまった川沿いの遊歩道。

今日は運よく道が空いていて、あっという間に着いてしまいました。

さらに駐車場が東側にあるせいで、暮れゆく夕日に向かってずっと遊歩道を歩くことになり、それはそれは気持ちが良かったのです。

この場所、夕暮れ時は絶景なのね。ハイヤーセルフさん、NICE! 素晴らしい景色をありがとう!

 

しばし日没後の空を堪能し、来た道を引き返していたら、前方から白っぽい三毛猫が走ってきました。

ニャ、ニャとなきながら足の周りをスリスリ~。頭を撫でてやると、背伸びして頭をこすりつけ、ぐるぐる喉を鳴らしています。

ワンコ2匹をお散歩中の女性も近寄ってきて「あら、可愛い。慣れてるから飼い猫かしら?」。

「毛並みはいいですけど、薄汚れているから野良猫ですかね。でも、誰か世話してるのかも」と、しばし猫談義。

その方によると、その辺りは地域猫化した野良猫が多いとのこと。

そっか、じゃあ君も誰かにご飯をもらえているね? と、三毛ちゃんに話しかけるも、人懐こいお嬢さんは足にからまるようにまとわりつき、速足で歩いてもずっとずっとついてきます。

えー?もしかして、飼ってくれる人を探してる? じゃあ、うちの猫になる? このまま車に乗って行っちゃう? と話しかけながら抱っこして歩き出したら、

「あ、それはけっこうです」と言わんばかりに、地面に跳びおりてついてこなくなり、切なそうにニャ、ニャと鳴き続けています。

 

なるほど。うちの猫になりたいわけではなく、お腹が空いているのね。わかった。ちょっと待ってて。

 

ふわふわ三毛嬢をその場に残して、わたくしコンビニへダッシュ。

カリカリと缶詰を購入して現場に戻ったところ、辺りは真っ暗。三毛猫も見当たらず、私も帰ることに。

で、車に向かって歩き出したところ、アパートの敷地を横切る猫2匹。

あ、あの子かも!? と眺めていたら、そのアパートの住民と思しきおじさんと目が合ってしまいました。

「誰か探してる?」。

「いえ、猫がいるなぁと……」。

「ああ、こいつらはここの猫。俺が面倒みてんの。この子はこの間、避妊手術したばっかりで、あの白黒は雄」。

「白の分量が多い三毛ちゃん、いませんか?さっき、ずっとついてきてたからお腹空いてるんだろうと思って、買ってきたんですよ」と、カリカリを渡すと、

「ああ、わざわざ買ってきてくれたの? あの子は特に人懐こいんだよ」と、猫たちの寝床をのぞき込みながら三毛猫の名を呼ぶおじさん。

なんでも、その地域は以前から猫が多く、周辺の猫好きな人たちが地域猫として面倒をみているのだそう。

そのアパートも猫たちの寝床を作って設置したのは1階の人。ご飯場所は中庭。餌をあげているのは2階のそのおじさん……と、みんなで可愛がっているそうで、

そんな話をしている間にも、バイクで帰ってきた若い男性が「こんばんは~」と言いながら、猫を撫でて部屋へと消えていきました。

ワ―オ。地域猫の理想郷を見つけてしまった。

そんな感じでみんなに可愛がられているから、敵愾心もなく、まるで家猫のように人懐こかったわけですね。

キュートな猫たちは遊歩道のアイドルなんですって。まるで地域猫カフェ。

私も時々あの子たちに遊んでもらうことになりそうだなあ(笑)。

私のカリカリは直ちに猫たちのご飯皿に注がれ、ニャーたち完食。今度、カリカリの大袋をおじさんに寄付しようと思いながら、また猫談義をしました。

いろんな意味で完璧なお散歩。年の瀬のほっこりした夕暮れでした。

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