地上の天使は空に帰った

クリスマスイブですね。

今いるカフェでもクリスマスソングメドレーが流れていますが、私は気分的に喪中です。

今週、射手座の新月が起きたその夜に、私がこの2年間、最も好きだったアーティストが自ら選択して、あの世へ行ってしまいました。

彼はキム・ジョンヒョンと言い、人気グループSHINeeのメインボーカルで、他のアーティストに楽曲提供もするシンガーソングライターでもありました。

その存在を初めて知ったのは、友達に誘われて行った彼ら初の東京ドーム公演です。

衝撃でしたよ。彼らの歌の上手さとキレッキレのダンスは。

5人が紡ぎだす歌とパフォーマンスのハーモニーが惚れ惚れするくらい美しくて、終演後すぐ友人に「次の公演もまた誘って!」と頼みました。

それからドライブ中に彼らの曲を聴くようになり、特にジョンヒョンさんの声とボーカル、彼の作る音楽がすごく好き!と、気づいたのがほぼ2年前。

お洒落でウィットが効いた軽めのダンサブルな曲。何を言っているか謎だけど(韓国語が分からないので)、心の奥底に沈む深い悲しみや憤りを花火にして打ち上げたような曲。

私はどちらかというと前者が好きでしたが、落ち込んだ時には後者の曲がありがたい。

彼の歌声が自分の悲しい気持ちを洗い流してくれる気がして、運転しながらハミングで歌い、明るさを取り戻した夜もありました。

音(声も)のエネルギーは、文字よりもずっと速くダイレクトに人の心に伝わり、その影響力や浸透力は日光や水に近いと思います。そして、歌はダンスよりも祈りに近い。

彼はパワフルで圧倒的な歌い方も、聴き手の心に寄り添う繊細で優しい歌い方もできる人で、ソロ曲の大半は後者。

私の中で、彼はニーナ・シモンと並ぶ位置にいた人でした。

ⅯⅭを務めていたラジオ番組でリスナーの悩みに丁寧に答えたり、心無い発言を繰り返すアンチファンさえも排除せず、逆にその心理を理解しようと努めるような人だったそうですが、そんなエピソードを知らずとも、歌を聴けば、この人が純粋に音楽を愛していて、とても繊細な感受性を持っていて、底抜けに優しいことは一目瞭然。

多くの偉大なアーティストと同じように、彼も音楽で人を癒し、元気にする役目を持った地上の天使だったと思います。

だから、好きだったんですよねぇ。

表現欲求というエゴを純度の高い芸術の域まで昇華するのって、すごく大変で、誰にでもできることではありません。なのに、こんなに若くしてそれをやっているジョンヒョンさんはホントにすごいと、尊敬してもいたのです。

でも、それは彼の才能と責任感、自分を追い込んでいく完璧主義のたまもので、本人が死にたくなるほど悩んでいたなんて、全然知らなかった。

彼が提供してくれる「輝き」と「優しさ」だけを享受して、暗闇にいた方の彼には何もしてあげられなかった無念さと無力感。

こんな形で天使を空に追い返してしまった、自分も含む世界の荒々しさに、正直うんざりもしています。

亡くなってから彼のバースチャートを作って見ましたが、当然のようにカリスマとして頂点に立つ運命を持っていながら、純粋すぎるくらい優しくて、自分と他人を隔てる壁が全くなくて、反射的に人の痛みに寄り添っては、それを背負っちゃう人なんですよ。

何ていうか、剣も盾も持ってない丸腰の大天使ミカエル。

地上には魔物もいるんだから、天使を派遣する時は、ちゃんと武器を持たせて下さいよ!と、宇宙の総支配人に文句を言いたい。

こういう人に、何かというといがみ合い、他人を傷つけて喜ぶ人も大勢いる世界は、ちょっと暴力的過ぎたのではないかな。

自死を肯定するわけではないけれど、深い安らぎを求めていた彼の意志を私は尊重したいと思います。

もう、あの声をリアルに聴けないのは、あの笑顔を見ることができないのは悲しいけれど、音楽&映像はデジタルで残っているから、彼の放っていたエネルギーにはいつでも会える。

ありがとう。本当にお疲れさまでした。ゆーーーっくり休んで、気が向いたら今度は気楽なところに降りておいで。

残された私たちはこれまで以上に、人が憎しみ合うことなく愛でつながる世界を望み、小さなことでも、できることからしていきたいと思います。そして、あなたがしていたように、心を痛めている人を見つけたら無視しないで側にいくね。

 

彼のことを知らない人も、良かったら聴いてみてくださいね。貼っときます。

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