母に感謝していること② 完璧主義よりご機嫌主義

母に感謝していることの2つめ、いきます。

それは、人間の弱さと、自分を生かすことの大切さについて教えてくれたことです。

うちの母は、子供の私の目から見ても多才な人で、料理も上手なら、掃除、洗濯もパーフェクト。コミュ力も高く、運動神経も抜群。人助けにも積極的で、行政を動かすような力もある。

パートタイム的に続けていた自営の仕事と介護の両立もしていたし、オーガニック関係の知識収集と実践も豊富だし、裁縫とか、奥様ができると「素敵ね」と褒められることはたいてい上手で、アートなども良く見ており……と、

家族としては息苦しいくらい、いろいろ完璧な人だったのですよ。

 

さらに通訳の資格を持っていて、いまでも英語はペラペラだ!

スキルキープの努力も欠かさないから、どんなジャンルでもどんとこいの語彙力があって、実際うちに外国人のお客さんがやってきて、父とビジネスやら世界情勢の会話になっても、難なく通訳してました。

つまり「内助の功」みたいなポジションに置いておくには、全く惜しい人だったと思うのです。

しかし、母がしていた仕事は労力の割に得られる収入は微々たるもの。能力的にも本領発揮には程遠い内容でした。

結局、体を壊したことをきっかけに仕事をやめ、母は名実ともに専業主婦になりましたが、そこから家庭を彼女が思う最適な状態に取り仕切ることへの情熱はますます高まり……

私への干渉と暴言はさらに激しくなり、だんだんおかしくなっていきました。

たぶん、母は体力は少な目だけど、精神的なエネルギーが大量にあるタイプなので、それを発揮する場が限られてしまって自家中毒を起こしたんだと思うんですよね。

東洋医学の用語でいうと「気滞」。気の巡りが滞った結果、いろんな不定愁訴やバランスの偏りが出る状態。

いうなれば、エネルギーの便秘。

 

その詰まりに詰まって腐ったエネルギーを発散したくて、母は彼女の周りにいる人の中で、一番弱い立場にあった人間、つまり私にぶつけていたのだと思います。

母が本来の力を、しかるべき場で発揮できなかったのは、当時はまだ子育中か、子育てを終えた女性が社会復帰するには高い高いハードルがあったせいでもあるし、何度か訪れた社会復帰のチャンスを掴む勇気がなかったせいでもある。

そして、母は外での完璧な姿とは裏腹に、家では愚痴や悪口が多く、不機嫌にしていることが多い人だったので、完璧主義は本人を苦しめる元凶でもあったと思います。

母の「完璧でいなくては」という考え方は、間違いなく生育過程に由来しており、自分を不自由にする縛りに気づいて、捨てられなかったのは気の毒でもありますが……。

 

つまり、母は抜きんでた能力を持つ一方で、人としてどうしようもなく弱い部分を合わせ持って言うました。

その弱さを本人が「そんなところも自分だよね」と認められないから苦しさが増し、八つ当たりが増えていったように感じます。

そんな母を見ていたせいか、そもそもの気質なのか、私は母とは正反対のタイプで、子供の頃から苦手や嫌いなことは「苦手なんで」「興味ないんで」とスルーして、どうしてもやらなきゃならない時はギリギリ及第点を取れればいいや、と思っていたほう。

今でも苦手なことはいろいろありますし、そこはできる人たちに助けていただいてますけど、実は「苦手なことは上手くできないし、あんまり頑張らない自分」を、そんなにダメだとも思わないのです。

開き直るわけではないけれど、人には得意不得意があって、それは個性だし、多種多様な個性がモザイクのように噛み合って成り立っているのが「世界」。

苦手なことや嫌いなこと、興味がないことを頑張っても大した結果は出ないし、残念オーラを漂わせて気を汚すだけなので、自分の得意なことや好きなことを頑張る方が、世界にも貢献できると思うのです。

少なくとも私のようなタイプは。

そして、完璧主義もほどほどにな、と。

根っからのストイックで、完璧さを極める自分に酔いたいタイプの人ならどうぞご自由にですが、自分が苦しくなる系の完璧主義は「人の視線や評価」を気にするがゆえのストイック。

しかし、人はその時の気分や流行で好きなように判断する生き物だから、そこに自分の判断基準を置いてしまうと、何が正解か分からず、翻弄されて、どんどん自分の本質からズレていってしまいます。

それは自分にとっても、世界にとっても、非常に危険だし、もったいないこと。

 

だから、自分ができること、やりたいことを楽しくやって、よくやった自分を褒めつつ、自分の苦手分野が得意な人はすごいなあと敬う方が機嫌よくいられて、自分の人生のためにも、世界のためにも良いと思うんです。

そんな大事なことに気づかせてくれたのは、まぎれもなく母。

痛烈な反面教師ではありましたが、やはり母には感謝しています。

 

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